映画の中からお姫様『今夜ロマンス劇場で』

弟に感想を求められ、観てきました

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今夜ロマンス劇場で/  2019年

 監督  武内英樹

脚本  宇山佳佑

 

 

 

おすすめしたい映画しか感想を書きたくないんですけど、最近ブログを更新してないので面白いと思った映画じゃなくても感想を書いていこうと思います。

 

はい。あんまりこの映画は好みじゃありませんでした。

邦画はあんまり面白くないという色眼鏡で見たせいかもしれません。ネタバレありで、悪口レビューになるかもしれないので気をつけてください。

 

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あらすじ

 

芽が出ない助監督の主人公は行きつけの劇場で好きな映画を観ていました。

すると雷が落ちて映画の中からヒロインが出てきます。

 主人公は憧れのそのヒロインに恋をしますが、実は彼女はこっちの世界の人間に触れると消えてしまうのでした。

 

というラブストーリー。

 

その前にこのストーリーは死にかけの爺ちゃんが若い頃書いた脚本を病院で看護婦に話している、という劇中劇設定です。

 

ヒロインは白黒ミュージカル映画のお姫様で、けっこう気が強いです。

すぐに人を鈍器で殴るし、主人公の事を下僕に任命します。 

彼女は白黒なのでファンデーションを全身に塗りたくって肌色になるところが面白いですね。

 

第一幕はすごくテンポもよく観ていて楽しいです。

展開はラノベっぽくて、あの死にかけの爺さんの妄想だと思うと不自然な感じがしますがご愛嬌。

 

突然始まる妖怪とナイスガイのミュージカルは時代設定に合わない感じの曲ですが、まあこの話を聞かされている若い看護婦の想像と考えれば楽しく見れました。

グレイテストショーマンの後に見たからめっちゃショボく感じましたが、まあギャグだし邦画なので大目に見ます。

 

後半からはいきなり暗い雰囲気になり、主人公が連れ出したくせに「もう付き纏うな!」とヒロインを突き放します。

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1人で雨の中、いつ無くしたか分かんない御守りを探すヒロインの元へ傘を持って駆けつけ、主人公が一緒に探してあげます。

 

数歩探すとすぐに見つかって主人公の株が上がります。この無理やりなクサい展開はさすがに観客を舐めてるのでは…笑

あとウォータープルーフの強さを思って集中できません。

 

そして最後は両想いになりますが、触れる事ができません。

最後に抱きしめて欲しいと頼まれ、主人公は手を伸ばしますが…

 

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最後は本当に意味がわかりません。

 

結末は書いていないという爺さん。

看護婦は続きが気になるから書いて欲しいとせがみます。

でも実は(最初から分かってたけど) この物語は爺さんの昔話で、本当にあった事でした。

 

で、なんとヒロインが爺さんをお見舞いに来ます。

あのストーリーの続きは、驚くべきことに、主人公はヒロインを抱きしめる事をやめて末永く幸せに暮らしたのでした!

 

爺さんは死の間際にヒロインと抱きしめ合うと、ヒロインが消えると同時に息を引き取りました。

 

看護婦が死亡を確認し、そばにあった脚本を見ると。書き加えられたラストシーンでは、2人は色の付いた映画の世界の中で幸せに暮らしていましたとさ。

おしまい。

 

 

 

 

はぁ…。

いい話のように聞こえますが、映画として見せられているこちらは何とも言えない気分でした。

 

触れられない相手と死ぬまで一緒にいる事が彼の幸せだったんでしょうね。

綺麗ですが、全く感情移入できません。

最後キスしてますがあれは看護婦の妄想の中の世界です。

 

ユージュアルサスペクツのような「信用できない語り手トリック」で何かビッグフィッシュ的な一捻りがあれば最高だったんですが、期待しすぎでした。

もっのすごくモヤモヤが残りました。 

これほど口直しが欲しくなった映画は久しぶりです。

誰もが幸せに感じるハッピーエンドじゃなかったせいです。

あなた方のなかではこれが幸せですか。

そうですか…

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以降、 粗探しになります。

 

ヒロインが出てくる白黒映画の演出は凝ってましたが、なんか脚本家の意図を演出家がそのまま再現してあげただけのように思えます。

この映画自体にそういった脚本家の意図と監督の表現の差異が多く感じました。

 

なんというか、あの時代の白黒映画なのに声が綺麗過ぎるというか。アテレコにしてわざと昔の映画っぽさを出せばもっと良くなっただろうに、そういうこだわりを感じなかったです。

白黒映画内でミュージカルがあるんですが、その所だけ音質が荒くなってアテレコっぽさが浮いてました。

 

前編ミュージカルにすればもっと良かったかも。

後半のダルさ半端ないです。

 

邦画って悲しい表現を、時間を使って演出しようとする事が多く感じます。

ミュージカルのように話はぐんぐん進みながら悲しみを全体で表現するのとはちがって、日本の映画は「ここが悲しい場面です」というようにストーリーを止めて時間を引き延ばすのが多いと思う。

そういうのが凄く苦手。

 

あとあのお供の動物達、いりませんよね。

絶対あの役者を使いたいがために無理やりテコ入れして作った役だ。あのあと全くストーリーに関係してないし。必然性が感じられない。

 

 

それと、脚本家が意図してないクサさが目立った。

 

主人公がヒロインを追って劇場に入る所。

満員の観客を押しのけて入れてもらうと、劇場の店主が観客を締め出して「今日は閉店だよ」って主人公を1人にさせてあげます。

 

この時、締め出された観客たちは怒って抗議するんですけど。

 

 

「なんでだ!あいつ金払ってねーじゃねーか!」
「いいえ、もらいましたよ」
観客にポケットから出した硬貨を満面の笑みで見せつけながら
「ずっと前にね!」

 

 

は?ってなりますよね。

これ、その前に主人公から貰った硬貨の伏線を回収する、店主のかっこいいシーンのはずなんですが。どう見ても頭イっちゃってる糞ジジイの横暴です。観客なんも納得できてません。

 

 

 「なんでだ!あいつ金払ってねーじゃねーか!」
「いいえ、もらいましたよ…」
閉鎖して立ち去りながら。
硬貨を取り出し眺めて、呟くように
「ずっと前にね…」

 

 

これならかっこいいじゃないですか。

横暴ながら、店主の義理堅いところが伝わるのに。なんであんな害児みたくしたのか。脚本家と意思疎通できてない証拠ですね。 

 

 

 

なんだかんだボロクソいいましたが、悪い映画では無いと思いますよ。

綾瀬はるかさんが可愛かったので、微笑ましく見れました。

あと主人公が脚本を任される所では自分まで創作意欲が掻き立てられました。ニューシネマパラダイスを見たときのような感慨にも浸れます。

よく映画の悪口ばかりレビューする人いますが、その映画が例え1人だとしても、誰かにとって心の支えになるのならいいじゃないですか。

「何が嫌いかより何が好きかで自分を語れよ」

ってツギハギ漂流作家って漫画で言ってました。

 

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やっぱ ラストアクションヒーロー 最高ですね!!